免疫とは - わかりやすい解説 -

体内で発生したガン細胞や外から侵入した細菌やウイルスなどを常に監視し撃退する自己防衛システムのこと。 免疫の仕組みは実に精巧にできており、いくつもの免疫細胞が協調しあって働いています。人間の身体の中では毎日、がん細胞などの異物(身体に害をもたらす細胞)ができます。

 では多くの人はなぜ、発病しないのでしょうか?

 それはさまざまな免疫細胞が連動し、ガンを死滅させるために働いているからです。もし、免疫というシステムが体から無くなったとしたら、私たちはすぐに何らかの病気にかかってしまうのです。" 免疫システムは15歳までに出来上がります。20歳を超えると、免疫力は落ちていきます。

 

免疫力が下がると

 ■ ウィルス・感染症などにかかりやすくなる

 ■ 肌が荒れる

 ■ アレルギー症状(花粉症・アトピーなど)が生じやすくなる

 ■ 下痢をしやすくなる

 ■ 疲れやすくなる

 

免疫力を高めるには

・腸内環境を整える 

人間の身体は、口から肛門まで続くトンネルのような構造になっています。 腸は体内にありながら、皮膚と同じように外界にさらされているのと同じです。 食事や呼吸をするたびに、腸は食べ物だけでなく、病原体となる細菌やウイルスにも毎日触れています。
免疫細胞の約6割は腸にいると言われます。 腸内の免疫細胞を活性化できる食べ物をとっているかどうかが、免疫力を大きく左右します。

免疫細胞を活性化させるには、腸内の善玉菌を増やす。善玉菌を増やすには善玉菌のえさになる食物をとることです。

善玉菌と言えば思い浮かぶのは乳酸菌です。乳酸菌はそれ自体が善玉菌であり、他の善玉菌のえさにもなります。乳酸菌を含む食物は、ヨーグルトなどの乳製品のほかに、日本古来の植物由来の乳酸菌で発酵させた数々の発酵食品があります。
発酵食品をつくる菌には乳酸菌の他に、麹菌、酵母菌、酢酸菌、納豆菌などもあります。これらは日本人の身体に一番合っています。古くから受け継がれてきた大切な知恵なのです。日本人は昔から発酵食品をとることで免疫力を高めていたのです。
発酵食品には、味噌、醤油、酢、納豆、ぬか漬け、たくあん、キムチ、チーズ、ヨーグルト、又パン、日本酒、ビール、焼酎、ワイン、かつお節などがあります(但し、昔ながらの製法の商品をおすすめします)。

 

・体温を上げること 

体温を上げるとなぜ免疫力がアップする?
免疫細胞は血液の中にいます。体温が下がり血行が悪くなると、体内に異物を発見しても素早く攻撃できません。
免疫力が正常に保たれる体温は36.5℃程度といわれています。、免疫力は、体温が1℃下がると30%低下し、逆に1℃上がると一時的には最大5~6倍アップするともいわれ、体温を上げることの重要性がよくわかります。
現代人は低体温傾向にあると言われています。 低体温というと、体質的なものと思えるかもしれませんが、日常生活の中に低体温を招く要因があることもあります。体温を上げて免疫力を高めるために、日常の中で心がけたいことを紹介します。

 

免疫力を高めるには、毎日の生活が大切です。難しいことはありません

 

・生活習慣の見直し 

適度な運動をする
 体を温め、免疫力を高めるために欠かせないのが運動です。無理をせず、自分のペースで適度な運動を生活の中に取り入れましょう。
ぐっすり眠る
 心もカラダも昼間の活動の緊張から解放され、心底リラックスしているのが睡眠中です。
睡眠中は、免疫細胞の働きがとても活発になり、免疫力が高まるのです。
栄養バランスを大切に
 毎日の食事への心がけは免疫力に大きく関与します。免疫力を高める食べ物を上手に摂りましょう。日本人が伝統的に続けてきた発酵食品、玄米や野菜中心の食生活が大事です。
入浴で身体を温める
 ゆっくり入浴することで、身体を芯から温め、全身を心地よくほぐしながら免疫力を高める良い方法です。38~40℃ぐらいのお湯に、10~15分ゆっくりつかると良いでしょう。

思いっきり笑う
 笑うと免疫細胞が活性化するという研究データが出ています。さらに、笑えば血行が良くなり、ストレスに関するホルモンが減って、心が穏やかになるなどの効果があります。

但し、新型コロナウイルスの対策としては、笑うことで酸素を多く取り込むことになり呼吸量が増えてしまうので、今は腹を抱えて笑いたくなるような事は避けたほうが賢明です。

 

身体を温める食べ物、冷やす食べ物の一例を紹介します。

 

<身体を温める食材・陽性>

 ・野菜類…生姜、唐辛子、ニンニク、ニラ、ダイコン、長ネギ、ゴボウ、タマネギなど

 ・果物・ナッツ類…栗、松の実、桃、ざくろなど

 ・魚介類…サバ、アジ、イワシ、エビ、カツオなど

 ・肉類…羊肉、鶏肉、鹿肉など

 ・そのほか…卵、みりん、味噌、ごま油など

 ・飲み物…日本酒、梅酒、紅茶、ココアなど

 

<身体を冷やす食材・陰性>

 ・穀類…そば、小麦

 ・果物・ナッツ類…バナナ、マンゴー、パイナップル、梨、柿など

 ・魚介類…カニ、牡蠣、しじみなど

 ・肉類…馬肉

 ・そのほか…こんにゃく、豆腐、バターなど

 ・飲み物…牛乳、緑茶、コーヒーなど

体を冷やす食材を摂る場合は、加熱調理をしたり、体を温める性質のある陽性の食材と一緒に摂ったり、香辛料や香味野菜を添える、発酵させるといった工夫で、うまくバランスをとるようにしましょう。

 

・免疫とは   - 詳しい解説 -

 

動物には、生まれつきもっている自分の体内にあったもの(自己)と、それ以外のもの(非自己)とを区別し、非自己の物質を体外に排出して自分の命を守ろうとするしくみがあります。

 

ウイルス、細菌、寄生虫などの病原微生物に一度感染すると、それが記憶され、再びさらされても感染・発病しなくなるのはこのしくみによるものです。

 

病原を免れるということから、このしくみを「免疫」といいます。

免疫は病原微生物などの外来物だけでなく、がんなどの悪性新生物が体内で新たに発生しようとする時にもこれを排除するのに働いています。

 

非自己の物質に対する反応を「免疫反応といい、免疫反応を起こす原因となった(なる)物質を「抗原」といいます。

 

予防接種は、この反応を利用したものです。

弱毒化、あるいは不活化して病原性を無くした病原微生物(ワクチン)を繰り返し投与してこれに対する免疫反応を起こしておくと、ほとんどの病原微生物にさらされても感染・発病しなくなります。

 

・免疫反応とそのしくみ 

 

免疫を主に担っているのは、白血球に含まれるリンパ球と組織中の樹状細胞といわれる細胞です。

樹状細胞は抗原提示細胞ともいわれ、体内に入った抗原(異物)を取り込み、分解して、細胞表面に差し出し、免疫の主役であるリンパ球が見分けやすいようにします。樹状細胞は抗原(異物)を差し出すだけでなく、抗原(異物)の種類や抗原(異物)が入ってきた時の状況に応じたリンパ球の反応のしかたを調節する役割も持っています。

リンパ球にはTリンパ球(胸腺でつくられる)、Bリンパ球(骨髄でつくられる)があります。Bリンパ球、Tリンパ球にはそれぞれ特定の抗原と結合する部分(レセプター)があります。Tリンパ球は胎児期までにいろいろと抗原と反応する無数の株(クローン)ができ、用意されていますが、自己の抗原と反応する株は死滅し、残っているのは非自己と反応するクローンだけです。このために自己の抗原とは反応しません。このしくみが異常となり、自己と反応する細胞や抗体ができて、自己の組織が障害されるのが「自己免疫疾患」です。

樹状細胞の表面に差し出された抗原と反応したTリンパ球クローンは、分裂増殖すると同時に、さまざまな役割を持ったTリンパ球に変化(分化)します。このうち、細胞傷害性Tリンパ球は、抗原を持っている細胞(ウイルスに感染した細胞、がん細胞、薬が結合した細胞など)を直接傷害します。遅延型過敏反応性Tリンパ球はリンフォカインという活性物質を遊離して、他の白血球を動員、活性化してその力で抗原を持つ細胞を傷害・排除します。細胞であるTリンパ球によるこの反応を「細胞性免疫」といいます。

Tリンパ球は、また、抗原と結合した特定のB細胞クローンを増殖して抗体産生細胞に分化させ、抗体を産生させます。抗体はグロブリンというたんぱく質で、それぞれ特定の抗原と反応します。免疫に関係することから「免疫グロブリン」といわれます。免疫グロブリンはIgG,IgM,IgA,IgE、IgDなどの種類があり、血液などの体液中に存在しています。抗体が抗原と反応する(抗体抗原反応)と、ほかの補助たんぱく(補体という)を活性化して、抗原をもつウイルスなどを傷害したり、マクロファージ(大食細胞)を刺激し、抗原を取り込み分解させます。体液中の抗体によるこのような反応が「液性免疫」です。Tリンパ球には樹状細胞の反応や細胞性免疫、液性免疫の強さや反応のしかたを調整する作用があります。

このようなTリンパ球は「調節性T細胞」といわれます。免疫反応は必要な時に必要な反応が起き、いきすぎた反応が起きないように調節されます。

 

・免疫力とは 

 

からだを守る免疫の力

風邪をひいている人が1回せきをすると10万個、くしゃみをすると200万個もの飛沫が飛び散り、その一部は、空気中になんと、30分間も漂っているそうです。飛沫には風邪のウイルスが含まれ、別の人の体内に侵入することで、新たな患者を誕生させてしまうわけです。

ところが、ウイルスに囲まれていれば必ず風邪をひく、というわけではありません。同じ条件下でも、風邪をひく人とひかない人がいますし、症状が軽くすむ人もいれば、重症になってしまう人もいます。これには、生まれながらにして備わっている生体を防御する力が関係しています。広い意味ではこれを、免疫力とよんでいます。

免疫とは、自己の構成成分以外の成分を非自己と認識し、それを生体から排除しようとする作用です。これは、身体がもつ重要な防衛機構であり、一種のホメオスタシス(恒常性)ともいえるでしょう。

 

古代ローマ時代から知られていた免疫

免疫という言葉は、疫を免れると書きます。古くから、ある感染症に1度かかってしまえば2度とはかからないという、「2度なし現象」を指すものとして捉えられていました。

この2度なし現象は、古代ローマの時代からよく知られていて、ペスト患者の看護が許されたのは、1度ペストに感染した後、回復した人だけだったといいます。また、梅毒からの回復者は梅毒による再感染に対して抵抗性を示すことも、当時からすでに知られていたようです。

同じ感染症に2度とかからないという免疫には、大きな弱点があります。

この免疫が働くためには、それ以前にまず、生体がその病原体に出会っていなければならないの。身体が以前に出会ったことを記憶していて「こいつは前に会ったやつだ」と認識できてはじめて免疫が機能するため、最初に会った時点では、排除しようとする力が十分に働くことができず、それだけだと、最初にかかってしまうことを予防できません。

だから、身体にはこうした狭い意味での免疫だけでなく、もっと広い意味での免疫機構がたくさん備わっています。まずはそれを見て行きましょう。

特異的防御機構と非特異的防御機構

狭い意味で免疫という場合、ペストや梅毒で知られるように、特定の病原体に対して、それをしっかり認識して排除する防御機構を指すことが多いようです。決まった相手にしか働かないため、特異的防御機構ともよばれています。

しかし、私たちの身体には、こうした免疫機能のほかに、「異物であれば、相手を選ばずなんでも攻撃する」という防御機能も備わっています。これを、非特異的防御機構といいます。この場合、以前に相手と出合っていなくてもかまいません。体内に侵入してきたものであれば、なんでもかまわず、排除しようと動きます。

相手がインフルエンザではなく、ただの風邪であれば、生まれながらにして身体がもっているこのような防御機構で、ウイルスを退治してくれます。解熱薬を飲んで寝ていれば風邪が自然に治ってしまうのは、この非特異的防御機構のおかげです。

ただし、こちらはこちらで別の弱点があります。なにせ、相手を記憶しているわけではなく、侵入してくるものはなんでも排除しようとしているだけです。一度インフルエンザにかかれば二度同じタイプのインフルエンザにかかることはありませんが、今年は夏に風邪をひいたから、この冬は風邪をひかなくてもすむわ、というわけにはいかないのです。

つまり、どちらにもそれぞれ弱点はあるので、お互いが役割を分担しながら、身体を守っているというわけです。

 

身体が守らなくちゃいけない外敵って、多いのですか? 

 姿は見えなくても、空気中に敵はウヨウヨ。食べ物の中にだって、実はたくさん潜んでいるのです。 

 

消化管の「守り」

解剖学的に見ると、人間の身体は消化管を内腔とした巨大なチューブとみなすことができます。全長約8mもあるチューブの内側は、実質的には身体の外です。

このチューブの中を、毎日数Lにおよぶ食物が通過します。食物は、見方によっては非常に恐ろしい侵入者です。その中には、細菌やウイルスなど、身体に害を及ぼす敵も潜んでいるかもしれません。というより、食物そのものが、私たちの身体にとって相当な異物なのです。

自然界に棲息(せいそく)する動物のうちで、最も雑食性の高い人間は、考えられるかぎり、ありとあらゆる物を食べています。血のしたたるビーフステーキや生の牛乳、生きているエビ、カビの生えたチーズ……。どんな食べ物も、口からではなく血液に直接入ったら、とても生きてはいられません。

食物に含まれる外敵と闘っているのは、消化管に棲(す)みついている莫大な数の腸内細菌です。体内に侵入した外敵たちはまず、この腸内細菌によって分解され、やがて便として排泄されます。

 

外の世界の細菌やウイルスは排除しようとするくせに、どうして自分の腸にいる細菌は排除しようとしないのですか?

それは、敵の敵は味方。手強い相手と闘うには同じ敵と闘う仲間の協力をあおぐのが、いちばんだからです。

 

生まれたときから一緒の常在細菌叢

母親の胎内で、ヒトは無菌状態で発育し、出生を迎えます。経腟分娩すると、産道でまず出合うのが母親の腟粘膜に棲む微生物たちです。

私たちは出生直後から、外界や母乳、人工乳中に存在する微生物と接触したり、これを摂食したりしながら生活しています。その結果、私たちの体表や体内には、微生物が常在的に棲みつくようにもなります。このように、生まれた直後から身体に棲みついている細菌集団を、常在細菌叢(じょうざいさいきんそう)とよびます。

常在細菌叢は腸や口の中、上気道、皮膚、腟などに存在し、防御機構の有能な“助っ人”として働きます。

たとえば、皮膚表面に棲みついた常在菌はリパーゼという酵素をつくり、リパーゼは皮脂腺から分泌された脂肪を分解することで、脂肪酸を生成します。そのため、皮膚の表面はいつも弱酸性(pH4.5~6.6)。酸には殺菌作用もあるため、病原細菌の侵入を防ぐバリアになります。

同じように、の粘膜は強力な酸である塩酸とタンパク質分解酵素を分泌し、食物とともに胃に入った細菌は、この胃液によって殺菌されます。また、腸内に棲みつく常在菌たちは、コレラ菌や赤痢菌属、サルモネラ属などの下痢原性細菌に拮抗して働き、これらの細菌による感染を防いでくれます。

女性の場合、思春期以降に増える女性ホルモンエストロゲン)の作用によって、腟粘膜の細胞に蓄積されるグリコーゲンが常在菌(デーデルライン桿菌〈かんきん〉)によって分解され、乳酸が産生されます。これによって腟内は酸性となり、他の細菌の増殖を抑えてくれています。

皮膚や粘膜に常在菌がいてくれるおかげで、後から入ってきた病原細菌が大きな顔をしたり、爆発的に増殖することはできないしかけになっているわけです。

 

似たような守りはほかにもあって、たとえば目のまわり。涙には、細菌の細胞膜を分解するリゾチームという酵素が含まれていて、眼結膜は涙で常に洗浄されているので、菌が繁殖することはないの。それに尿道口。ここにもたくさんの常在菌が存在していますが、排尿によって常に洗い流されていれば、膀胱にまで上がってくることはありません。涙や尿も、守りに関係しています。

それだけじゃなく、たとえば皮膚の表面にある角質。古くなると垢(あか)になって剥がれ落ちるんだけれど、これも細菌の侵入や繁殖を防ぐのに役立っていて、お風呂に入って垢を落とすのは、侵入者である細菌を洗い流しているのと同じことです。

 

 ・侵入してきた敵をたたく白血球|守る 

 

侵入してきた敵をたたく白血球

皮膚や粘膜といった体表のバリアはとても頑丈で、めったに侵入を許すことはありません。しかし、けがをして、皮膚や粘膜が切れたり破れたりすると、そこから細菌が深部組織に侵入してしまうことがあります。このような場合、次の防衛部隊として、白血球が活躍します。

白血球は、10~50℃の範囲であれば、アメーバのように動きまわることができます。血液に乗って移動し、侵入者を見つけると、毛細血管壁を通り抜け、侵入者のほうへと移動します。この現象を、白血球の血管外遊出といいます

白血球は、どうやって侵入者を見つけるのですか?

組織が破れたり、感染したりすると、まるでSOSを出すみたいにサイトカインとよばれる化学物質が出てくるの。このサイトカインが引き寄せ役になっています。

 

白血球は、どれくらいのスピードで侵入者のところに到着するのですか?

白血球の移動速度は、1分間あたり27~29μmといわれています。ちなみにいちばん速く移動できるのは好中球です。

 

白血球の働き

白血球はまず、細胞の中につぶつぶのある「顆粒〈かりゅう〉球」と、つぶつぶのない「無顆粒球」に分けられます。さらに、顆粒球のうち、酸性の色素に染まるものを「好酸球」、塩基性の色素に染まるものを「好塩基球」、中性の色素に染まるものを「好中球」とよび、区別しています。つぶつぶのない無顆粒球は、「単球」と「リンパ球」に分類されます。

 

白血球は、からだの中に侵入してきたウィルスや細菌などから、常に命を守り続ける免疫細胞です。からだの中では多種多彩な免疫細胞群(白血球の仲間達)が、緻密な連携を組んで異物と戦っています。

 

ロシア人の微生物学者、イリヤ・イリイチ・メチニコフ(1845~1916)は1884年、白血球が細菌を捕らえて食べることを発見しました。以来、白血球は食細胞ともよばれています。顆粒球にあるつぶつぶの中身はリソソームで、タンパク質分解酵素のアルカリプロテアーゼを含み、摂取した細菌を分解して消化します

また、単球はとりわけ大きなものを飲み込むので、血管から出るとマクロファージ大食細胞とよばれます。リンパ球は後に詳しく説明する抗原―抗体反応に関係しています。

白血球を食作用貪食〈どんしょく〉作用の盛んな順に並べると、好中球>単球>好酸球>リンパ球>好塩基球の順になり、食作用の50~70%は好中球が担っています。好中球は、主として小さな細菌を処理する係で、5~25個の細菌を処理した後は死滅しますが、その後は膿となって残ります。

実は、白血球が攻めるのは、外からやってくる侵入者だけではありません。なかには、体内に発生した自己の組織に由来する異物成分を攻撃する細胞もあります。これをナチュラルキラー細胞(NK細胞)といいます。

 

ナチュラルキラー細胞とは

ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、1975年に発見された、比較的新しい細胞です。その働きはまるで、一匹オオカミの殺し屋のようです。

常に体内を単独でパトロールし、がん細胞やウィルスに感染した細胞など、もともとは自分でも、異物のようになってしまった細胞を見つけると、単独ですばやく処理してしまいます。ナチュラルキラー細胞の活性は加齢とともに減退するので、高齢になるほどがん発生率が高くなるのもうなずけます。

 

白血球と血小板の寿命

白血球のうち、顆粒球の寿命は比較的短いようです。血液中に4~8時間、組織に出て4~5日間は存在しているようですが、感染が起こると、それによって自分自身も破壊されるので、その寿命は数時間ともいわれます。

単球も血液中には10~20時間程度しか存在しないようです。組織に入ると、組織マクロファージという巨大な細胞になって、数か月から数年間とどまるともいわれています。リンパ球は組織と血液中を何度も循環し、100~300日の寿命といわれています。血小板の寿命は10日程度です。

 

さて、生体には皮膚や粘膜のバリアがあること、そして、そのバリアを突破してきた侵入者には、白血球という防衛軍が立ち向かうことは理解できましたか?

では今度は、白血球たちがどのようにして侵入者たちと闘うのか、その様子を、詳しく見ていきましょう。最初に話した『2度なし現象』の仕組みも、これでわかると思います。

 

抗原──抗体反応って、なんだ?

私たちの身体には、敵を記憶して、特定の相手にだけ働く免疫と、敵とみればなんでも攻撃する免疫がある、とお話しました。皮膚・粘膜のバリアも、白血球の顆粒球やナチュラルキラー細胞による防御も、実は後者にあたります。

 

では、前者にあたる免疫機能とはいったい、何によるものなのでしょうか?

先にお話した「2度なし現象」には、ある種のタンパク質がかかわっているのではないか。このことは、すでに1800年代から指摘されていました。病原体に感染した動物には、将来、同じ病原体から身を守るような物質が血液の中に産生されることがわかっていたからです。その物質は後に、「抗体」と名づけられました。

抗体は原則として、侵入者に出合うことでつくられます。抗体をつくる免疫反応を引き起こす侵入者を、抗原とよんでいます。

このような抗原―抗体反応はもともと、からだが「自分」と「自分でないもの」を区別するために発達したと考えられます。難しい言葉でいうと、「自己」と「非自己」を区別して、「非自己」を排除しようとする仕組みです。

抗体がつくられるためにはまず、病原体が1回体内に侵入し、身体がそれを記憶しなければなりません。さらに、ある抗原によってつくられた抗体は、その抗原に対してのみ反応し、ほかの抗原とは反応しません

だから特異的防御機構といい、抗原と抗体との反応には、1対1の特異的な関係があるというわけです。

 

液性免疫と細胞性免疫

このように、抗原に対して特定の抗体がつくられ、それによって生体を防御する仕組みを液性免疫ともよんでいます。液性免疫を担うのは、リンパ球のうちのB細胞です。

生体内に侵入してきた病原体に対しては、リンパ球それ自体が直接攻撃をしかけることもあります。T細胞やNK細胞による攻撃がそれにあたります。抗原・抗体による液性免疫に対し、こちらを細胞性免疫とよびます

液性免疫と細胞性免疫は、通常どちらか一方だけが働くのではなく、両方が同時に、協調して働いています。

 

T細胞、B細胞ってなんですか?

T細胞、B細胞はリンパ球の種類で、それぞれ成熟する場所が違うので、呼び方も違えば、もっている機能も違っています。

 

違うのは、生まれる場所じゃなく、成熟する場所ってことですか?

では、白血球を含む血液細胞がいったいどこから生まれるのかから、ゆっくりと説明してみます。

 

血液はどこで生まれるか

血球の生成はまず、胎生3週目頃、卵黄嚢(のう)の中胚葉性細胞で始まります。その後、胎生1~2か月頃からは肝臓や脾臓でも血球がつくられ、肝臓においては、出生数週間前まで活発に生成が続きます。胎生4か月目頃になると、骨髄でも血球がつくられ、7~8か月目には肝臓や脾臓での生成を上まわるようになります。以後、骨髄での血球生成はさらに盛んになり、出生直後から生後4歳くらいまでは、ほとんど全身の骨髄で血球がつくられます

こうした造血作用は、成長するにつれ、四肢末端の長管骨から弱くなります。思春期では、大腿骨や脛骨、上腕骨などの長管骨で血球がつくられていますが、20歳を過ぎると、長管骨のほとんどで生成は止まります。ただし、頭蓋骨、骨盤、胸骨、脊椎骨、肋骨ではその後も長く、血液細胞がつくられ続けます。

造血作用が盛んな骨髄は、見た目から赤色骨髄とよばれますが、生成が止まった骨髄は脂肪細胞に置き換えられ黄色くなるため、黄色骨髄とよばれます。

成人の場合、白血球も赤血球血小板も骨髄で作られます。

白血球のうち、免疫にかかわる細胞を免疫細胞とよびますが、それはみな、骨髄の中にある多能性幹細胞という1種類の細胞から派生したものです。

 

好酸球好中球もリンパ球も、全部元は同じってことですか?

そう。ただしリンパ球には、それぞれに必要な能力を訓練する学校があって、生まれた後はそこへ行くんですね。

 

リンパ球の学校?

リンパ球の学校──胸腺

骨髄でつくられたリンパ球は、そのままでは未熟で使い物になりません。その未熟なリンパ球のほとんどは胸腺に向かいます

胸腺(thymus)は胸の真ん中にある白っぽいプヨプヨした臓器です。10歳代前半で最大になり、約35gに達しますが、性成熟後は小さくなり、老人になると痕跡(こんせき)を残すくらいになってしまいます。

胸腺の働きが明らかになってきたのは、1900年代半ばのことです。マウスの胸腺を取ると伝染病にかかりやすくなったり、胸腺をとったマウスにヒツジの赤血球を注射しても抗体ができなかったりしたことから、胸腺が免疫反応を起こすために必須の臓器であることがわかってきました。

胸腺で成熟したリンパ球は、thymusの頭文字をとってTリンパ球T細胞とよばれます。胸腺では多くの未熟なリンパ球がひしめき合って教育されていますが、実際にそこを出て活躍できるのは一部のエリートだけ。卒業できるのはなんと、胸腺に入ったリンパ球全体の5%以下に過ぎません。

胸腺を卒業していくT細胞は、それぞれ得意な仕事を身につけています。あるものは免疫反応を助け、あるものはそれを抑えます。それぞれ、ヘルパーT細胞サプレッサーT細胞とよばれます。また、殺し屋専門の細胞もいて、それはキラーT細胞とよばれています。

訓練を終えたリンパ球は、卒業証書をもらいます。

 

卒業証書?

これは、リンパ球として成熟している証明のようなもので、T細胞抗原受容体(T cell receptor、略してTCRとよばれています。

 

それは、どういうものですか?

ある種の分子と思ってくれればいいわ。こうした分子には国際的に統一した番号が付けられていて、CD(cluster of differentiation)とよばれています。ヘルパーT細胞にはCD4分子、サプレッサー、キラーT細胞にはCD8分子などが細胞表面に出てきます。

 

Bリンパ球の由来と成熟

リンパ球のうち、Bリンパ球B細胞はニワトリの消化器官に相当するファブリキウス嚢(bursa of Fabricius)で初めて発見されました。そのため、bursaの頭文字をとってB細胞とよばれています。

ニワトリを使った実験では、ヒヨコのうちにファブリキウス嚢を除去すると、細胞性免疫は損なわれませんが、抗体産生が低下することが示されています。人間にはファブリキウス嚢は存在しないため、いまのところ、骨髄がファブリキウス嚢と同じ役割を果たしているのではないか、と考えられています。

 

B細胞っていったいなんなんですか? T細胞とは、何がどう違うのでしょうか?

簡単にいうと、B細胞は抗原に出合うと抗体製造マシーンに変身します。

 

抗体製造マシーン?

抗体製造マシーン──形質細胞

抗原に対応する抗体をつくるのは、リンパ球のB細胞が分化してできた形質細胞です。B細胞は、「抗体」分子を受容体としてもっていて、抗原が侵入してくると、その刺激によって形質細胞に分化し、次々と抗体を産生します。

一方、形質細胞に分化しなかったB細胞は、記憶細胞(メモリー細胞)となり、入ってきた抗原を記憶します。これによって、次に同じ抗原が侵入してきたときにも、すばやく反応することができるのです。

B細胞に抗原の侵入を知らせるのはヘルパーT細胞で、ヘルパーT細胞からの連絡を受けると、B細胞はすぐに分裂を始め、形質細胞へと分化していきます。形質細胞が作り出す抗体は、たとえていうなら細胞の壁を打ち破るミサイルのようなもの。抗体には「補体」という爆薬があり、導火線のようにさまざまな反応を繰り返し、最終的に敵の細胞膜を破壊し、死滅させます

(齋藤紀先:休み時間の免疫学。p.24、講談社、2004より改変)

抗体の基本構造

免疫グロブリン(immunogloblin:Ig)ともよばれる抗体は、血清タンパク質のγグロブリンに相当します。その基本構造は、2本の重鎖(heavy chains:H鎖)と2本の軽鎖(light chains:L鎖)でできています

H鎖とL鎖、およびH鎖とH鎖の間はジスルフィド結合(S-S結合)で結ばれており、4本の鎖が結合すると、全体としてT字型、あるいはY字型となります。

 

ジスルフィド結合ってなんですか?

タンパク質とタンパク質、あるいはタンパク質内の分子同士の結び方の一種と考えてくれればいいです。

 

抗体ってなぜこんな形をしているんですか?

抗体の構造はよく、鍵と取っ手にたとえられます。

 

どこが鍵で、どこが取っ手?

抗体は、その構造上、Fab領域とFc領域に分けられます。抗原と結びつくことができるのは、Fab領域です。

また、一方の端には抗体の種類によって形の違う可変部(V領域)があり、他方にはほとんど同一の構造をもつ定常部(C領域)が存在します。定常部は、たとえるなら鍵の取っ手になります。ですから、ここはどの抗体でも同じ形をしています。

一方、鍵にたとえられる可変部は、抗体の種類によって形が違います。H鎖とL鎖の可変部が抗原結合部位となるため、どのような抗原と結合するかによって、その部分の形が違ってきます。

1つの抗体には、抗原と結合する部位が必ず2か所あります。そして、可変部の違いにより、免疫グロブリンは、IgG、IgM、IgA、IgE、IgDの5つのクラスに分けられます。

 

特異的防御機構である抗原-抗体反応について、おおよそ理解できたでしょうか?

抗体に関しては、難しい言葉がたくさん出てきて、覚えきれなかったかもしれません。

一度に全部、覚えようとしなくていいので、わからない言葉は無視して、とにかく流れをつかんでください。流れが見えてきたら、わからなかったこともだんだん、わかるようになるはず。

 

免疫グロブリンの種類

抗体、すなわち免疫グロブリンの種類を以下にまとめました

 

IgG:分子量は約16万。正常人の免疫グロブリンの70~75%を占め、最も多い抗体である。胎盤通過性があり、血液を介して母親から胎児へと受け渡される。

 

IgE: 分子量は約19万。気道、消化管粘膜、リンパ節などの局所でつくられる。Ⅰ型アレルギー反応(即時型アレルギー反応)を起こすレアギン抗体であり、組織中の肥満細胞や末梢血中の好塩基球と結合し、細胞表面上でアレルゲンと反応してヒスタミンなどの化学伝達物質を放出し、Ⅰ型アレルギー反応を起こす。

 

IgD:分子量は約19万。末梢血中のリンパ球の膜表面に存在する。正確な機能についてはよくわかっていない。

 

IgM:分子量は約100万。正常人の免疫グロブリンの10%を占める。通常、5量体の形で存在し、それぞれのFc部分はJ鎖によって結合されている。抗原結合部が多いため、IgGと比べて赤血球凝集能、細菌凝集能、溶血能、殺菌能なども高い。IgMは、抗原刺激後、IgGより早い時期(3日前後)から出現するが、短期間で下降していく。個体発生的にも初期に産生される。

 

IgA: 血清IgAと分泌型IgAの2つがある。分泌型IgAは外分泌液中(唾液、涙、気管支分泌液、汁、前立腺液、腟分泌液、腸管分泌液)に含まれていて、それぞれの局所粘膜における防御機能を担っている。分泌型IgAは2量体の形で存在し、分泌成分とJ鎖によって結合している。分子量は39万。

 

 免疫反応の流れ

病原体などの異物が体内に侵入した場合、最初に攻撃を仕掛けるのは歩兵隊にあたる好中球マクロファージ(単球)でした。好中球もマクロファージも、細菌などをとらえて食べる細胞であり、敵とみればなんでも食べてしまうのが、大きな特徴です。

このうち、好中球の寿命は短く、ある程度食べてしまうと、限界がやってきて自滅していきます。その後を引き受けるのがマクロファージで、彼らは前線で好中球と一緒になって異物を食べ続けますが、その食作用は好中球よりずっと長持ちします。

マクロファージはまた、重要な別の役割も負っています。敵をその触手でとらえ食べつくした後、細胞表面にさらなる応援を頼むための旗印を立てるのです。これを、抗原提示といいます。

抗原提示とは、「ここに敵がいるぞ」とほかの細胞に知らせる仕組みです。これが、その後の免疫反応につながっていくわけです。

マクロファージが立てた旗に気づくと、今度はT細胞が動き出します。最初に動くのは、作戦参謀役のヘルパーT細胞です。ヘルパーT細胞はマクロファージと結合し、作戦指令書を配ります。作戦司令書とは、サイトカインと総称される情報伝達物質の一種で、ほかのT細胞やB細胞は、この作戦指令書を受け取ることで動き出し、マクロファージを助けます。

次に、この作戦指令を受けて最強軍団のキラーT細胞が動き出し、その他多くのマクロファージも前線に集まってきます。キラーT細胞に「攻撃しろ」と指令を出すのはヘルパーT細胞。ヘルパーT細胞は同時に、敵に対して最も効果的な武器(抗体)を生産するB細胞を選び出し、抗体をつくらせます。

闘いが長期化すると、身体のダメージも大きくなります。派手に攻撃しすぎると、自分の陣地(正常な細胞)までだめにしてしまったり、アレルギー反応を起こしたりすることもあるからです。

だから、私たちの身体には、適当なところで闘いを終わらせる仕組みも、ちゃんと備わっています。その抑制役を担うのが、サプレッサーT細胞です。

サプレッサーT細胞は、闘いの状況を冷静にみつめ、抗体の生産状況を常に監視し、攻撃し過ぎないようにしています。

 

細胞が持つ「私」という刻印

私たちの身体を構成している60兆個の細胞すべてには、「自分」を証明する、刻印のようなものが押されています。白血球などの免疫細胞は、この刻印によって「自己」と「非自己」を区別しています。

生物が「自己」を認識する遺伝子は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)とよばれています。人間の場合はヒト白血球抗原(HLA)とよばれます。輸血の際に、ABO血液型やRh血液型が合致してもなお副作用が現れることがあり、HLAはそれがきっかけで発見されました。

HLAは染色体のある場所に固まって存在し、「自己」と「非自己」を区別する基準となっています。ところが、たまにある種の製造ミスで、この刻印が違ってしまうことがあります。さらに、もともとは「自己」の刻印をもった細胞でも、がんウイルスにおかされると、その刻印を見分けることができなくなってしまいます。このような場合、すかさずキラーT細胞がやってきて、間違った刻印のある細胞を殺してしまいます。

 

●免疫を潜り抜ける “ がん細胞 ”

免疫システムは、がん細胞などを異物だと認識することで起動します。その“認識”という重要な役目を担っているのが「樹状細胞」です。樹状細胞は免疫の総司令官といわれるほど優秀な細胞ですが、がんはさらに“したたか”。ゲリラ戦の猛者のように免疫を攪乱し、監視の目を潜り抜けてしまうのです。

 

がんがたくらむ4つの 免疫攪乱 ” 作戦

①免疫細胞は抗原(免疫細胞が攻撃の目印にする物質)がはっきり提示されていれば、その分容易に攻撃態勢へ入れる。しかし、がん細胞は巧みに “ がん抗原 ” を隠しながら増殖する。
②がん細胞は免疫の主力部隊である「T細胞」が攻撃モードに入らないようにする物質を分泌している。
③免疫細胞のひとつ「マクロファージ」が担うT細胞を活性化する作用を押さえ、逆にT細胞の活動を抑制する物質を分泌させる。
④「免疫寛容」という、免疫細胞との “ なれ合い状態 ” を作る。がん細胞と免疫細胞はバランスを保って共存してしまうので、免疫は力を発揮できない。
こうしたがんの攪乱を突破するためには、樹状細胞に一層鮮明に標的であるがんの姿を教え込む必要があります。その免疫システムにがん情報を明確に伝える “ 力 ” こそ、免疫療法そのものだといっても過言ではありません。つまり、世の中に数多くある免疫療法の差とは、樹状細胞のがんに対する認識・識別能力の差だといっても良いでしょう。

 

 

●「免疫システム」は2段構えで闘う

免疫システムは、基本的に2つの仕組みから成り立っています。1つは「自然免疫」。常に体内を監視し、侵入者に対していち早く攻撃態勢を整えます。異物が侵入した初期段階の防衛線です。2つ目の「獲得免疫」は、高度な生命体のみに備わったシステムです。強い破壊力を持ち、がんなどの強力な敵に対抗します。特定の病気に対して抗体を持つのもこのシステムのお蔭です。
免疫は体内に侵入した異物に対し、まず「自然免疫」が攻撃を仕掛け、それでも撃退できない場合は「獲得免疫」が出動するという“2段構え”を講じています。両者は密接な連携プレーであらゆる状況に対応します。

●攻撃の先陣を切る免疫細胞

体内に侵入した外敵に対し、最初に攻撃を仕掛ける“自然免疫”のメンバーは「単球」「顆粒球」「NK細胞」です。これらの免疫細胞が常に体内をパトロールしてくれているお蔭で、私たちは病気にならずに済んでいるわけです。

 

単球――パトロールチーム

異物の情報をリンパ球に伝える攻撃の総司令官。免疫がどれだけ有効に機能するかは、樹状細胞がどれだけ明確に敵を認識するかにかかっているといっても過言ではない。

外気に触れる鼻腔、肺、胃、腸管、皮膚などに存在している細胞です。名前のとおり枝のような突起(樹状突起)を周囲に伸ばす形態が特徴です。樹状細胞は、異物を自分の中に取り込み、その異物の特徴(抗原)を他の免疫細胞に伝える働きを持ちます。実際には、抗原を取り込んだ樹状細胞は、リンパ節などのリンパ器官へ移動し、T細胞やB細胞などに抗原情報を伝えることで、それら免疫細胞を活性化させます。活性化されたT細胞やB細胞が、異物を攻撃します。

死んだ細胞や異物を自分の中に取り込んで処理する。顆粒球を呼び寄せて攻撃を促す。

マクロファージはアメーバ状の細胞です。からだの中に侵入してきた異物を発見すると、自分の中にそれを取り込んで消化(貪食処理:どんしょくしょり)します。また一部のマクロファージは、異物の特徴 (抗原)を細胞表面に出すことで、外敵の存在を他の免疫細胞に伝えます。そのほか、他の免疫細胞と共同で、TNF-α、インターロイキン、インターフェロンなど免疫細胞を活性化させるサイトカインという物質産生にも関与します。

 

顆粒球――攻撃チーム

  • 好中球」「好酸球」「好塩基球」から成り、比較的大きな病原菌を飲み込んで殺滅する。

NK細胞――攻撃チーム

NK(ナチュラルキラー)細胞
リンパ球のひとつ。攻撃性はさほど強くないが単独行動できるのが利点。敵に素早く反応する。

常にからだの中をパトロールしており、ウィルスに感染した細胞などを発見すると単独で攻撃をしかけます。T細胞とは異なり、他からの指示を必要とせず、一人で外敵や異物を攻撃できるため、「生まれつき(natural)の殺し屋(killer)」という名前が付けられています。

 

●強力な攻撃を仕掛ける免疫細胞

がんなどの強力な敵に対抗する「獲得免疫」のメンバーは “ T細胞 ” “ B細胞 ” といった「リンパ球」です。

 

リンパ球――攻撃チーム

主に細菌やウイルスなど、小型の外敵に対抗する。“抗体”というミサイルのような武器で戦う。

B細胞は、抗体を産生する免疫細胞です。血液のもととなる細胞(造血幹細胞)から作られ、樹状細胞の指令を受けると、外敵や異物だけを攻撃する抗体を作り、異物の排除を手助けします。また、B細胞は、細胞ごとに作る抗体の種類が決まっており、B細胞が作り出せる抗体に見合った外敵が出現した場合にのみ、活性化し抗体を作り出します。

がんなどを攻撃する免疫の主力部隊。強力な殺傷能力を有する「キラーT細胞」、それを活性化させる「ヘルパーT細胞」、攻撃をストップさせる「サプレッサーT細胞」など、さまざまな種類が確認されている。T細胞は各々連携をとりながら、多彩な攻撃を展開する。

ウィルスなどに感染した細胞を見つけて排除します。T細胞は、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞(レギュラトリーT細胞)の3種類があり、それぞれ司令塔、殺し屋、ストッパー・クローザーの役割があります。

1. キラーT細胞

樹状細胞から抗原情報を受け取り、ウィルスに感染した細胞やがん細胞にとりつき排除する、という「殺し屋」の働きを持っています。

2. ヘルパーT細胞

樹状細胞やマクロファージから異物の情報(抗原)を受け取り、サイトカインなどの免疫活性化物質などを産生して、攻撃の戦略をたてて指令を出します。

3. 制御性T細胞

キラーT細胞などが、正常細胞にも過剰な攻撃をしないように、キラーT細胞の働きを抑制したり、免疫反応を終了に導いたり、というストッパー・クローザーの働きを持っています。